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4. ことわざに見る猫 <フランス語>

フランス語で猫は chat。
"langue de chat" ラングドシャ(猫の舌の形をしたクッキー)でお馴染みでしょう。
chatte で『雌猫』となります。
フランス語にも、猫にまつわる言い回しやことわざがたくさんあります。
フランス語に登場する猫は、どんなイメージなのでしょうか。









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参考文献

 食いしん坊だ
「猫のように食べる」=「食いしん坊」となるらしい。
ガッツクのは犬ではないかと思うのだが…

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 猫のように甘える
確かに猫は甘え上手。足元に顔を摺り寄せるあの仕種を思い浮かべればいいのだろう。

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 読みにくい乱雑な字を書く
「猫のように書く」ということが、乱筆悪筆の形容詞になっているようだ。
愛猫家としては有り難くない言い回しだが、フランスの猫は字を書くようだから、まあいいとしよう。

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 好奇心旺盛だ
「めす猫のように好奇心旺盛だ」ということ。「好奇心」とくれば「猫」という連想があるようだ。英語の諺にも、Curiosity killed the cat. (好奇心は猫をも殺す=好奇心はほどほどに)というのがあった。確かに猫たちは、何によらず恐る恐るでも近付いて確かめようとする。頭を下げて、お尻をちょっと上げて這うように進む姿が目に浮かぶ。

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 誰にでもすぐ惚れる
「めす猫のように惚れる=誰にでもすぐ惚れる」ということらしい。めす猫の妖艶さが生んだ表現なのかもしれない。

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 すばしこく駆け回る、女を追いかけ回す
「やせた猫のように走る」というのが文字どおりの意味。たしかにやせた猫は身軽にすばしこく駆け回るだろうが、それが転じて「女を追いかけ回す」という意味にもなるとは…

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 犬猿の仲である
日本では、仲が悪いのは犬と猿だが、フランスでは犬と猫。「犬と猫のようだ(のように生きる)」=「犬猿の仲である」となる。

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 すばやく(そっと)通り過ぎる
「赤くおこった炭の上を渡る猫のように通り過ぎる」が文字どおりの意味。
熱い炭の上を歩けと言われたら、猫でなくても大急ぎで渡るだろうに…。それに、好き好んで炭の上を渡る猫などいません!!

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 現物を見ずに買う(売る)
「紙袋の中の猫を買う(売る)」というのが文字どおりの意味だが、これが転じて「品物を見もしないで買う」あるいは「見せずに売る」という意味となった。やや古い表現。

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 歯に衣着せずに言う
「猫を猫と呼ぶ」が原義で、「物事をはっきり言う」という意味で使われる。Nicolas Boileau (作家、詩人 1636〜1711)の言葉がもとになった表現。

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 他にもっと大事な仕事がある
「他に鞭打つべき猫がいる」という意味から、「他にもっと重要なことを考えている」「他にすることがある」という時に使われる。
フランスでは猫が悪戯すると鞭でぶたれていたのでしょうか???

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 声がしゃがれている
「猫が喉に詰まっている」というのが原義。「喉が詰まる」「声がしゃがれている」という意味で使われる。
猫が喉に詰まったら、声がしゃがれるだけでは済みませんよね。

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 さっぱりわけがわからない
直訳すると「猫用の粥のようだ」ということだが、「(話・文章などが)さっぱりわからない」「(説明などが)拙劣でわかりにくい」さらに「無駄なことだ」「骨折り損だ」という意味で使われている。
フランスの猫用の粥は、きっと薄くて、味もぼけていて、「こりゃあ一体何だ?」という代物だったのだろう。

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(la chatte)! (責任を回避する人に)そりゃあないよ
「それは猫だ」が原義。何か不始末をしでかした人が、自分の責任を回避しようとしているのに対して、皮肉を込めて「それは猫のせいだと言うんだろ、そりゃないよ、とんでもないよ」という意味で使われる。

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 お手上げだ
「舌を猫に与える」が文字どおりの意味。解答がみつからずに、言葉がでないでいる時の形容なのだろう。「降参する」「お手上げだ」「かぶとを脱ぐ」という意味で使われる。

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 やぶへび
「眠っている猫を目覚めさせる」すなわち「やぶをつついて蛇を出す」「やぶへび」ということになるようだ。
フランスの猫は、よほどの悪戯好きか、暴れん坊か、甘えん坊か、いずれにしても、ひとたび目が覚めれば手に追えなくなるのだろう。日本の猫も同じかも…

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 てっとり早く化粧する
「猫の身繕いをする」が、「簡単にてっとり早く化粧(洗顔)する」という意味になる。
neco家の猫は、じっくり時間をかけて、丁寧に身繕いしているのだが???

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 大したことではない
「猫を鞭打つ理由はない」というのが原義。「鞭で打つほどのこともない」すなわち「大したことではない」ということになるのだろうが、フランスの猫は悪さをすると鞭でお仕置きされていたのだろう。

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 罪をなすりつける
「猫を足元に投げ付ける」が文字どおりの意味。これが「罪をなすりつける」「窮地に追い込む」という意味で使われるのだが、かなり古めかしい表現のようだ。これはどういう連想から生まれた表現なのだろうか。足元に投げ付けられた猫は、その足の持ち主を投げた張本人と思い込んで、その人に反撃するからなのだろうか。
猫が本当にそんなリアクションをするのかどうか、実験したことはないし、実験しようとも思わないが…。

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 敵もさるもの
「良い猫には良いネズミ」、好敵手同士ということ。

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 鬼ごっこ
「猫とネズミ」で「鬼ごっこ」という意味になる。
ネズミが猫を追い掛けることもあるのかなあ???

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 鬼ごっこをして遊ぶ
「鬼ごっこをして遊ぶ」という意味の他、「行き違いになる」という意味にも使われる。

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 〜を手玉にとる
「ネズミと遊ぶ猫のように〜と遊ぶ」ということから、「〜を手玉にとる」「〜を意のままにあやつる」「〜をなぶりものにする」という意味に使われる表現。
最近都心に出没する巨大ネズミ相手では、箱入り猫など怯えて手も出せないかもしれません。いずれ手玉にとられるのは猫の方という時代が来るかも…

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 執拗に相手の様子を探る
「ネズミを狙う猫のように、相手をじろじろと見る」ということから、「執拗に相手の様子を探る」という意味で使われる。

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 鬼のいぬ間に洗濯
「猫の留守にネズミが踊る」すなわち「鬼のいぬ間に洗濯」という意味の諺。英語でも「猫の留守にネズミが遊ぶ」という同義の諺がある。日本の『鬼』や『姑』にあたるのが、西洋では『猫』というのが面白い。

 一寸の虫にも五分の魂
「小さくてもひっかかない猫はいない」=「一寸の虫にも五分の魂」という意味の諺。

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 雀百まで踊り忘れず
「猫に生まれた者はネズミを追う」つまり「雀百まで踊り忘れず」。

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 羹に懲りてなますを吹く
「火傷した猫は冷たい水も怖がる」が原義。

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 危ない橋は他人に渡らせ、うまい汁だけ吸う
「火中の栗を拾うのに猫の手を使う」が原義。猿が焼きぐりを火の中から取るのに、猫の手(足?)を使ったという寓話から出た表現だろう。英語でも「猫の手(足?)にされる」で「他人の道具に使われる」「人の手先に使われる」という意味になる。

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【参考文献】
『現代フランス語辞典 第2版』
1998年1月20日 発行
発行所:株式会社白水社

『「ねこ式」フランス語会話』
2000年10月30日 第1刷発行
2002年3月1日 第2刷発行
著者:にむらじゅんこ
発行所:株式会社三修社

『文化と歴史で学ぶフランス語』
2001年3月20日 発行
著者:小倉博史
発行所:丸善株式会社

『ロワイヤル仏和中辞典』
1985年11月1日 初版発行
発行所:旺文社

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