みのもんたの朝ズバッ!にひとこと

2008年12月21日

「(仮称)荒川区良好な生活環境の確保に関する条例」案に対して、多方面から区長へのメールやパブリックコメントが寄せられ、抗議署名運動もありましたが、その甲斐なく、荒川区議会にて同案は可決され、「荒川区良好な生活環境の確保に関する条例」として制定されました。

この条例制定のきっかけとなったのが、野良猫たちへの餌として路上に点々と生肉を置いていく男性の存在でした。この人物も含め、ゴミ屋敷など各地で問題となっている迷惑人間と、それに対する行政の取組が、先日、みのもんたの朝ズバッ!で取り上げられました。特に、荒川区の問題については、その取り上げ方、みのもんた氏のコメントがあまりに表層的で、問題の核心がら離れており、早朝から臍を噛む思いで一杯になりました。すぐに番組宛に意見を送ろうと思ったのですが、なかなか時間が作れず、昨日、取り急ぎ文をしたため、封書にて郵送しました。(文字量制限でメールでは遅れませんでした。)やっつけ仕事でしたので、文も推敲されておらず、私の案ずるところを先方にどれほど伝えることができるかわかりませんが、先送りにして、時機を失するよりは良いかと、投函しました。

以下、文面を転載いたします。よろしければご一読ください。


『みのもんたの朝ズバッ!』ご関係者各位

過日の番組内容に寄せて

私の起床時間は毎朝5時20分。
ほどなく始まる「みのもんたの朝ズバッ!」で、寝ぼけた頭をシャッキリとさせていただいております。

さて、過日、ゴミ屋敷等、地域の頭痛の種に対して、行政が動き出したという特集レポートがありました。
その中で、荒川区で問題となっている、猫の餌にと生肉を路上に置いていく男性が取り上げられ、区議会が猫への不適切な餌やりを罰金や行政代執行の対象とする条例(荒川区良好な生活環境の確保に関する条例)を可決したことが報じられました。

みのもんた氏は、この件に絞ったコメントはしなかったと思いますが、コーナー全体を締めくくる形で、こうした傍迷惑な行為に対しては、条例の制定を含め行政がどんどん取り締まっていけばよい、という趣旨のお話しをされたと記憶しています。また、行政から「朝ズバッ!の後押しのお陰」と感謝されたとも言っておられました。

迷惑行為にもさまざまあります。騒音問題や、ゴミのポイ捨て、ゴミ屋敷等は、最終的には条例を制定して取り締まるしかないのかもしれません。しかし、荒川区の男性の場合は、状況がかなり異なります。第一に、男性の行為、餌やりの対象となる動物、猫が存在することです。
近隣の方のインタビューにもありましたが、この男性は猫が好きで、お腹を空かせた猫を見過ごせなかったことが発端なのでしょう。その気持自体は、望まれればとて批難されるものではありません。ただ、餌のやり方がまずかった。しかし、もっと遡れば、家のない猫を生み出す行為、つまり猫を捨てる、去勢・避妊していない飼い猫を外に出す、という無責任な行為こそ、もっとも批難されるべきではないでしょうか。もちろん渦中の男性の行為は、配慮を欠いたものであり、結果的にカラス、ハトまでが集まり、周辺住民にかかる迷惑は倍増したことでしょうが、行政の指導や地域猫活動団体の協力で、適切な餌やりに導くことはできなかったのでしょうか。

今回の荒川区の条例可決までには、多方面からかなりの反対運動やさまざまなパブリックオピニオンが寄せられたようです。荒川区にこの条例の案が出たと報道されて以来、荒川区外でも、適切な地域猫活動をしている団体や個人に対して悪質な嫌がらせが頻発しています。地道な毎日の活動によって、漸く少しずつ社会の認知を得ようとしている地域猫活動が、この条例によって再び窮地に立たされているのです。条例の内容が問題というわけではなく、条例化という動き自体が、そもそも猫を快く思っていない人々の中に誤解、曲解、拡大解釈を生み、心ない行為に走らせているのです。

猫の餌にと生肉を路上に点々と置いていく困った輩がいる、それを取り締まる条例ができた、良かった良かった、この調子で行政はどんどんやれ……

あまりに表面的な見方に過ぎませんか?
幼い子でも、いえ、幼い子であればこそ、きっとこう尋ねるでしょう。
「そのおじさんがいなくなったら、猫たちはどうなるの?」と。
おじさんがいなくなって、カラスやハトが集まらなくなれば糞害や突っつきの害は減ることでしょう。しかし、そもそもの原因だった家のない猫の存在は変わりません。近所にいなくなればそれで良い、などと考える人々は論外です。猫の生涯飼育、外に出す飼い猫の避妊・去勢の徹底、すでにそこにいる家のない猫に対しては、地域猫活動により、適切な餌やりと周辺の清掃をしながら、避妊・去勢を実施して、家のない猫の連鎖を断ち切ることこそ、本来の解決なのです。

問題の表面を片側からちらりと眺めて軽いコメントすることは、百害あって一利なしです。ことに世論を導く力のあるみのもんた氏の発言となれば、その一言一句にどれほどの影響があることか……。扱うすべての出来事に、十分な知識と多角的な視点に裏打ちされたコメントを、みのもんた氏個人に求めることは酷なことです。しかし番組制作の姿勢として、個々の問題をもう少し深く掘り下げていただきたいと思います。その上で、取材、編集し、みのもんた氏へ必要な情報を提供していったならば、朝ズバッ!がさらに磨かれていくものと確信しております。

最後にふたこと。

その1 校則がたくさんある学校ほど風紀が乱れている、というのは万人が認めるところだと思います。条例もそうではないでしょうか。条例の多さは、その地域の品性と民力に反比例しているということを胸に、私たち一人一人にできることを考えていきたいと思います。

その2 「国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で判る」
マハトマ・ガンジーの言葉です。


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