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猫ちゃんの家財道具

トイレ / 爪研ぎ / ご飯皿 / カラー

さて、今度は猫ちゃんの必需品について考えてみましょう。これまた「釈迦に説法」でしょうが、多頭飼いゆえに気づいたことを中心にお話しします。

1. トイレ
猫ちゃんがやってくるなり、必要になるのがトイレ。ペットショップやホームセンターには、様々な形のトイレと数え切れないほどの種類の砂が並べられています。子猫の場合は、自力で入れるように縁の低いものがいいですね。大きくなるに従って、砂かけにも迫力が出てきますから、三方の囲いが高いものを選ぶようにしましょう。

我が家では、部屋の掃除をしてもすぐにテレビや電話や棚の上が真っ白になるのですが、これが猫が砂を掘ったりかけたりする時に立つ砂埃だと気づいたのは、結構最近のことです。屋根(蓋)のついたトイレもあるのですが、我が家の肥満児たちは入り口でつっかえてしまいそうですし、屋根のないトイレならではのウンチング・スタイルを各人各様に開発してしまいましたから、今更屋根付きに変えるのはまず無理でしょう。小人数では気づかないかもしれませんが、砂埃は確実に舞っています。最初から屋根付きにしておいた方がいいかもしれません。

埃まみれになるとは云え、屋根のないトイレにも利点はあります。それは、トイレをしている様子がつぶさに観察できること。ニセドが尿道結石になってからはなおのこと、トイレの観察の大切さを痛感しています。また、複数の猫を飼っている場合、誰がどんな様子でどんなオシッコやウンチをしたか、或いはしなかったかを知ることが大切です。屋根があっても通常は半透明の乳白色をしていますから、透けて見えるでしょうが、屋根なしの方が目につきやすいことは確かです。

これは、トイレの置き場所にも関わることですね。猫が周囲を気にせず、落ち着いてトイレができるように、トイレはあまり人気のない所に置いた方が良い、という記述をよく見かけますが、我が家のように完全室内飼いの8匹が一つのトイレを使っていると、これでは大事なトイレ観察ができなくなります。ですから、我が家では、皆が一番長く過ごす居間に置いてあります。食事も居間ですが、狭いながらもトイレとはできる限り離して猫皿を置いています。

さて、8匹が同じトイレと聞いて驚かれた方もいらっしゃることでしょう。正確には、1階に一つ、2階に二つ置いてあります。これは、ついこの間までの二世帯住宅の名残りです。ところがウッドデッキの出現による国交正常化に伴い、2階組も1階のトイレを使い、1階組も2階のトイレを使いと、全員がその時々で好きなトイレに飛び込んでいます。トイレはプライベートな空間ですから、なかなか他の猫と共有しないものだと聞いていますが、我が家では室内飼を始めた当初から、血のつながりに関係なくトイレを共有していますし、一つの決まったトイレしか使わないという猫もいません。目の前のトイレに入ろうと思った矢先に先を越され、慌てて2階のトイレに走っていく様は、人間と変わりません。とは云え、トイレはデリケートな問題ですから、新たに猫を迎えるときは、先住者、新人、双方に気を配って、トイレの数を考えてください。

トイレの砂も多種多様。固まる砂が主流ですが、これはオシッコの量を知るのに大変便利ですし、後始末も楽です。我が家の選考基準は、消臭効果が高い、値段が手ごろ、そして軽いこと。何しろ8匹分の使用後の砂の量は半端ではなく、重いとゴミ集積所まで持って行くのが大変なんですもの!

食べることと同じように大切なトイレ。皆さんの猫ちゃんたちの様子を見ながら、考えてあげてください。

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2. 爪研ぎ
トイレに次いで大事な猫ちゃんの家財道具は爪研ぎです。猫の爪研ぎの目的は二つあります。文字通りの爪研ぎと匂いつけです。猫の爪は、蝉が脱皮するように外側の古い爪(角質)が剥がれ落ち、内側の新しい鋭い爪にとって替ります。猫は引っ掻くようにして、古い爪を落とすんですね。爪研ぎには、ときどき剥がれ落ちた爪の抜け殻がくっついています。もう一つの匂いつけですが、猫は肉球に臭線があります。そこから分泌される匂いをこすりつけて、自分のテリトリーを示そうとするわけです。

猫は放っておくと所構わず爪研ぎを始めます。壁や柱、大切なものを傷つけられる前に、爪研ぎを用意してちゃんと教えてあげましょう。ホームセンターやペットショップには、ダンボールを重ねて切ったもの、芯に麻布のようなものを被せたもの、縄を巻いたものなど、工夫を凝らした爪研ぎが多数並べられていますね。neco家でもいろいろ試してみましたが、一番人気はダンボール製のもの。中でもダンボールの目の詰まったものを好んでいるようです。市販の爪研ぎには、猫の気を引くために『またたび』の粉が入っています。これをパラパラと振りかけておくわけですが、『またたび』が効き過ぎて、擦り擦りするだけでは治まらず、舐めてかじって、『またたび』をかけた所だけ穴ぼこになってしまったりもします。

爪研ぎの置き場所ですが、neco家では各部屋に一つずつ床置きしています。ファイトとマロンの2匹だけだった頃、一人に一つずつ爪研ぎを置いてあげたのですが、独占欲旺盛なファイトがどちらも自分のものにしてしまい、困ったことがありました。さらに増やしても全部ファイトのものになってしまうのです。でもその2匹は外へも自由に行き来していましたから、爪研ぎのないマロンが家具や壁を引っ掻くことはありませんでした。今いる内猫たちは、全ての爪研ぎを仲良く共有しています。

床に置いた爪研ぎには目もくれず、壁などで爪を研いでしまう場合、爪研ぎをそこに掛けてあげましょう。市販の爪研ぎは、どれも壁や柱に掛けられるようになっています。

爪研ぎ対策は、屋外で必要になる場合もあります。目下neco家のファイトとロッキーママ、そして準家族のキャラリンは外で暮らしていますが、どうやらガスやエアコンなどの配管を包む柔らかい材質がお気に入りの様子。気が付けば配管が所々むき出しになっており、急遽、丸太の切れ端と古いござを外壁に立て掛けました。飼い猫を出入り自由にしている場合や、通い猫が来るお家では、一度お家の外回りの点検をしてみてください。爪研ぎの形跡が見つかったら、雨に濡れても大丈夫な材質の物をそこに立て掛けてあげましょう。

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3. ご飯皿
猫たちにとって最大の関心事はやはり食事でしょう。ご飯を入れるお皿も、ペットショップにいくと、いろいろ並んでいますね。ステンレス、陶器、合成樹脂と素材も様々、色や柄もバラエティに富んでいて、見ているだけで楽しくなります。日中、猫ちゃんがお留守番というお家では、オートフィーダーが大活躍することでしょうが、普通のご飯皿の場合、どれを選ぶかは、飼い主さんのお気に召すまま、ということでしょうか。座りがよくて、ちゃんと猫が食べられ、きれいに洗って清潔に保てるものだったら何でも良いのです。実は、neco家では1年ほど前までは、ステンレスの調理用ボールや合成樹脂のキャット・ディッシュを使っていました。家の中では、それで何ら問題がなかったのですが、通い猫用に外に出しておいた容器が強風に飛ばされ、お隣のお庭に入ってしまったのです。これはまずい!!そうでなくても多分にご迷惑を掛けているわけですから。そこで、急遽陶器のキャット・ディッシュに変えました。これなら風に飛ばされる心配もありません。内猫のお皿も右に習えで、陶器にしてしまいました。ところが、陶器に変えた途端、necoたち人間の気持ちに変化が起きました。これまで『餌』だったものが、『ご飯』に変わり、そのご飯に対する気遣いも増してきました。当の本人、猫たちはどう思っているか分かりませんが、こんな変化があるなら、猫もまた大歓迎なのではないでしょうか。いずれにしても、外に出すご飯皿は、風に飛ばされないものを選んでください。

さて、多頭飼いの場合、お皿は人数分用意しましょう。一人一人自分のお皿で食べれば、それぞれがどれだけ食べたかが分かります。食欲は健康のバロメータですから、これは守りたいところです。ところが、neco家では、これが次第になし崩しになってきています。食事は基本的には朝夕の2回にしていますが、食事時間が待ち遠しい子もいれば、とんと関心を示さないのんびり屋もいます。人数分並べたお皿は「待ってました」と食べる子に次々と空にされ、一方ののんびり屋はそれでも我関せず。そこで食べ損ねた子のために、また別のお皿にご飯を入れて置いておき、お好きな時にどうぞ、となってしまっています。これでは、食事の管理などできようはずもありません。何とか対策を講じなければと思案中です。

お水の器には大きめの座りの良いものを用意しましょう。こぼれると始末が大変ですから、陶器のように重いものの方がいいと思います。高齢猫は腎機能の低下とともにお水を飲む量が増えますから、たっぷり、数カ所に置いてあげてください。それでも、仏様にあがっているお水のコップに顔を突っ込んでペロペロやったり、キッチンの洗い桶の残り水を飲んだり、お風呂の床をなめたり(キッチンや洗面所やバスルームなどは、洗剤が残らないように、使い終わったらきれいに水で流しておいてくださいね)…neco家では洗面所にもキッチンのシンクの脇にもお水を入れたコップを置いています。通い猫用にも常時きれいなお水を用意してあげましょう。

ご飯皿やお水の容器の下には、ビニール製のプレースマットを敷いておくと、お皿から飛び出したご飯かすが床にくつかずにすみます。汚れたら水洗いすればいいので、いつも清潔に保てます。お盆にのせてもいいのですが、お盆のように縁のあるものだと、縁を踏んで水の容器をひっくり返すこともありますので、ご注意を。

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4. カラー
皆さんは猫ちゃんにカラー(首輪)をつけていますか?カラーを着けるかどうかは、論議を呼ぶ問題の一つですね。
カラーに連絡先を描いた迷子札を付ければ、万一道に迷ってしまっても見つけられる可能性がぐんと高くなります。その一方で、木や杭などにカラーが引っ掛かり、命を落とす危険もあります。この危険を回避するために、一定以上の力が加わると外れるようになっているセーフティー・カラーも市販されていますが、いずれにしても、カラーは飼い主の自己満足でつけるものではない、ということを念頭に置いておきたいものです。

猫自身にとって、カラーはおそらくない方が心地よいことでしょう。完全室内飼いをしている場合、カラーを着けないというお宅も多いかもしれません。ただ、何かの拍子で外に出てしまった場合、日頃から自由に外を行き来している猫よりも、道に迷ったり、事故に遭う危険は高いかもしれません。その『万一』を考えるならば、カラーをということになりますが、連絡先を書いた迷子札を付けていないと、かえってマイナスになりかねません。カラー自体の危険もありますし、カラーをしていたがために、差し伸べられてもよい救いの手が届かない、ということがあるからです。カラーは飼い猫であることの証明書のようなもの。どこかのお家の飼い猫だと思えば、保護もしてもらえなくなります。Neco家の『らーちゃん』も、カラーをしていましたから、道で出会っても声を掛けるのが精々でした。今思えば、『らーちゃん』の存在に気付いてから家に連れて帰るまでの期間、『らーちゃん』はカラーのお陰で不必要な飢えや不安に苦しんだことになります。
また、子猫の場合など、体の成長に連れてカラーがきつくなり、首を絞めていくことになります。カラーを着けるなら、必ず迷子札をつけるとこ、これが鉄則だと思います。もちろん、出入り自由にしている猫の場合も同様です。長年、ちゃんと家に戻ってくる猫でも、高齢になれば方向感覚が鈍り、戻れなくなる可能性があるからです。

最近は、ノミを寄せつけなくするなど他に機能をもたせたもの、上述したように一定以上の力が加わると外れるもの、カラーの一部分にゴムが付いていて脱出できるようにしたもの、など様々なカラーが市販されています。また、愛猫のためにカラーを作ってあげる飼い主さんもいらっしゃることでしょう。この時、全体が伸び縮みするようにと、ゴムを芯にするのは避けた方がいいかもしれません。身繕いの時に爪に引っ掛けて口まで運んでしまい、猿ぐつわのようにはまってしまうことがあるからです。Neco家の猫の場合、口にはまったカラーを外そうと必死に手でもがき、口の周りが血だらけになった子が2匹おりました。ご注意ください。

『カラーには迷子札』…これを鉄則に、猫にとって安全なカラーを選んであげてください。

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