ゴールデンウィーク 東京猫散歩

May 16, 2009 reported by neco

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大勢の猫たちと暮し、もともと遠出は出来ない身ですが、渋滞が予想されるゴールデンウィークや夏休みなどは、もっぱら東京散歩を楽しんでいます。
身近な場所を旅人気分で歩くのは、楽しいものです。
そこに猫でも居てくれたら、言うことなし!!
neco家の今年のGWの東京散歩をご紹介しましょう。

GW初日、神代植物公園へ出掛けました。ここへは年に何度かやって来ます。この時期、藤は終わり、ツツジ、サツキも盛りを過ぎ、バラには早い、という花の端境期。ボタン・シャクヤク園が人を集めていましたが、ジャリを敷いたその一画には、母の車椅子を押しては入れず、遠目に眺めながら通り過ぎました。
花の彩りはなくても、この公園の素晴しさに変わりはありません。5月の高い空に新緑の葉をそよがせる樹木のトンネルを、ゆったりと歩く森林浴こそが、ここを訪れる一番の目的なのですから。
仕事漬けになっていた4ヶ月……空気を飲み込むばかりで、ふーっと吐き出すことを忘れていた私たちは、まずここで、溜まりに溜まった体内の古い空気を思いっきり吐き出します。空っぽになった体は、木々が作り出してくれた瑞々しい空気で満たされていきます。
正門から入り、深大寺門を抜け、松葉茶屋で深大寺そばで腹ごしらえ。
それから、坂を下り、元三大師堂に入ると、いました!
猫さんです!
昨年の4月にお堂の階段で日向ボッコをしていた茶トラ猫が、今日は、横階段の下で眠っていました。
こうして再び巡り逢えることは、望外の喜びではありますが、反面、再会はとても自然で、当然のことのようにも思えました。当の猫さんは、我関せず、一年前と同様、「今」を満喫していました。

神代植物公園にはこれまで何度も足を運び、深大寺そばや深大寺ビールを賞味していながら、私たちは「当の深大寺ってどこ?」という不届き者。今回も、深大寺の所在は気になりながらも、元三大師堂を横切り、一回り大きなお堂を抜けて参道に出ることにしました。

参道があるのだから、深大寺は近いはずなのに……。そしてついに発見!その一回り大きなお堂こそが深大寺のご本堂だったのです。
深大寺は、733年、満功上人によって創建され、東京では浅草寺に次いで古いお寺です。無意識に古めかしい佇まいを思い描いていたのでしょう。何回もお堂の前を通りすぎながら、ついぞ、ここが深大寺の本堂とは気づかなかったのです。
深大寺は何度か焼失しており、現在のご本堂は大正8年に再建され、平成15年に改修されたとのこと。深大寺詣りの正式ルート、参道から山門をくぐってお堂に出ていれば、こんな不信心なことにはならなかったのに……。と反省至極。
深大寺の門前を左右に伸びる参道には、そば屋さんが軒を連ねています。私たちの目指すお店は、参道に出てすぐ右の『あめや』という店。ここの『そばパン』が絶品なのです。蒸かしたてのパンの中身は、高菜、小倉餡、うぐいす餡、白餡、かぼちゃ餡の5種類。これをどっさり買い込んで帰るのが、いつの間にかお約束になってしまいました。

坂道を上り、神代植物公園に再入園して、植物園を半周。正門近くのフラワーショップで、鉢植えの花を4種類買って、帰路につきました。

GWと夏休みに、銀座で映画を見るのも、恒例になりました。
映画の前にまずランチ。
あちこち食べ歩くのも楽しいものですが、最近の数回は、ブオーノ ブオーノでゆっくりとイタリアンを味わっています。
肩身の狭い愛煙家に、桜の葉からこぼれる陽射しが心地よい、窓際の席が用意されているのも大きな魅力!
ドルチェまでしっかりお腹に詰め込んで、日比谷の映画館へ向かいます。
でも、映画の前にお楽しみがもう一つ。と言うより、本当はこちらの方がメイン・イベントなのかもしれないのですが……。
西銀座デパートと泰明小学校に挟まれた小道を日比谷に向かって歩いていきます。
左右の植込みを怪し気な姿で覗き込む二人の人影……私たちです。
覗く先には、段ボール箱をビニールテープで補強したキャットハウスとご飯皿が点在しています。それを見ただけで、頬がゆるんできます。
でも残念ながら、猫さんの姿はありません。昼下がりのお散歩中でしょうか。
小道の行き止まり辺りで、私たちより、さらに身を屈めて茂みに頭を突っ込んでいる人を発見!ということは、猫さんが居るということ!
近寄って、その人の視線を追うと、二匹の猫がのんびり横になっていました。その人曰く、黒白猫はここに来て一ヶ月足らず。人懐っこいところを見ると、飼い猫だったのだろうと。
観客が増えて、黒白猫は茂みを出てきました。とりわけ甘える素振りはないのですが、差し伸べられる手を嫌がることもなく、撫でられるに任せてくれます。
やがて、小道のど真ん中で身繕いを始めました。そのお腹には、毛を刈られた四角が見えました。避妊手術の痕です。小振りな体なのに、やけにオッパイが目立ちます。妊娠していたのかもしれません。今、こうして人を信じ切って身繕いに精を出す、大人になりきっていない猫の身に起こったのであろう数々を思い、胸が痛みました。




茂みに残った一匹も、私たちの話し声に、さすがに身を起こしました。警戒心が強いのだそうですが、心地よい昼寝の邪魔をした闖入者に身構えるでもなく、穏やかな表情でこちらを見ています。
黒白猫の登場で、この子と人との距離も、徐々に縮まっていくかもしれません。

帰りにもまた会える?
会えたらいいね。

そんな言葉を残して、この温かい場所を後にしました。
今回の映画は、スラムドッグ&ミリオネア。「でも……」ということも、頭をひねることもなく、無条件に満足できる映画はそうそうありません。これはそんな貴重な作品の一つではないかしら。オススメです!!

久方ぶりに良い映画と巡り会い、気分よく例の小道に入ると、さらに嬉しいことに、先ほどの二匹がじゃれ合っていました。
その様子を、二人の若者が道ばたに腰を下ろして眺めています。女性の手には、棒の先にネズミを吊るしたお手製のオモチャが握られていました。
「良くこちらにいらっしゃるんですか?」
「ええ、ときどき」
ここは、猫ではなく、人のパラダイスなのかもしれません。



連休中に浅草に行くのも、お約束になっているのですが、今年は、少々趣向を変えて月島へ行ってみることにしました。本場もんじゃ焼き初挑戦です。カーナビに目指すもんじゃ焼き屋さんの住所をインプットして、出発。素直にカーナビに従っていたのですが、新宿辺りから、妙に遠回りしていることに気づきました。タクシーだったら一揉めありそうな程の遠回りです。急ぐ旅でもなし、まっ、いっか、とその後もカーナビに付き合っていると、まるで、はとバスのコースのようです。信濃町から赤坂を抜け、果ては浜離宮まで通り、とんだ東京観光となりました。お陰で到着時間が予定より30分以上遅れ、お目当てのもんじゃ屋さんには長蛇の列。諦めて、別のお店に入りました。
このあたりで、もんじゃ屋さんの並ぶメインストリートの写真をお見せしたいのですが、母の車椅子を押していて、撮影できませんでした。残念!
もんじゃ焼きは全部お店の人に焼いてもらって、こちらは専ら小べらを口に運ぶばかり。もんじゃの醍醐味は自分で焼くこと、という声が聞こえてきそうですが……。
舌もお腹も満足したときには、もう、次の連休も月島に来ることが決定していました。もんじゃ屋さんを総嘗めにするような勢いです。
この東西に走るメインストリートには、いくつもの細〜い路地が交差しています。
猫は、こういう路地にいるのよね、と覗いては見るものの、車椅子を押して入るのも気後れして、猫さんとは会わずじまい。



帰りには佃島に寄って佃煮を買って帰る予定だったので、そちらに向かいました。車椅子を旦那様にバトンタッチして、メインストリートと並行して走る一本北の通りに出ると、お待ちしてました、とばかり、いきなり猫さんに出くわしました。
いつも玄関に置いてある車椅子に我が家の猫の匂いが付いているのか、その猫さん、くんくん、と車椅子の検閲を始めました。
納得がいくまで匂いを嗅ぐと、「そんじゃ、さいなら」(江戸っ子だったら、どう言うのかしら???)と背中を向けてしまいました。
その分かれっぷりの良いこと。
お陰で後ろ髪引かれることなく、こちらも踵を返して、佃島へ。

佃島には佃煮の老舗が3軒あるようですが、今回はその内の2軒、隣り合った『天安』と『佃源田中屋』で少しずつ買い求めました。片方が本家、片方が元祖、と銘打っていますが、本家と元祖の味比べも面白いですものね。

佃島も、ゆっくり歩けば楽しそうですが、今回は、これにて家路につくことにしました。

深大寺、銀座、月島……今回の東京散歩は猫さんに恵まれた、嬉しい猫散歩になりました。



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