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猫のミュージアム・グッズ:Die Katzen のブローチ

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猫という扉を開けると、その先には広い広い世界が広がっている、と常々思うのだが、アートの世界もその一つだ。お気に入りの猫グッズがきっかけで、陶磁器、絵画、版画、彫刻、造形など、それぞれのジャンルの入口に導かれ、いつの間にかその庭の散策を楽しむようになる。
今回、水先案内役をしてくれたのは、この黒白のブローチ。これぞ!と思うアクセサリーには、なかなかお目にかかれないのだが、この一点は少々天の邪鬼な私の目を釘付けにした。
ドイツ人アーティスト、Gerhard Marcks (1889〜1981)の木版画、Die Katzen を基に作られたミュージアム・グッズだ。
Die Katzenは1921年の作で、現在 Minneapolis Institute of Arts に収蔵されている。2匹の猫の、対比と調和が素晴らしい。
マルクスは、彫刻、陶芸、木版画など、広い分野に大きな足跡を残している。制作初期には、動物のフォルムに関心を寄せ、この Die Katzen や Die Eule (フクロウ)などの作品が残されている。その後、マルクスは、人間に焦点を当てるようになり、長い生涯、そのテーマは変わらなかった。
マルクスの名は、アーティストとしてより、むしろバウハウスに関連づけられて知られているのだろう。1919年、グロピウスによってバウハウスが創設された際、マルクスは、イッテン、ファイニンガーと共に最初の教師に選任されている。
1925年にファッショ政府の圧迫により、バウハウスが解散した後、マルクスはKumstgewerbeschule に移り、やがてディレクターの地位を継承するが、ナチスにより解雇。
こうした政治の抑圧の中でも、マルクスはドイツを離れることなく、社会に迎合することもなかった。
Die Katzen の猫には、そうしたマルクスの強い意思が投影されているように感じるのは私だけだろうか。