外猫家族に異常あり その5(H18.12.17)

それから、さらに5日経ち、状況はさらに好転した。

4匹の毎朝のお出迎えは、まったく元通りになった。あっちゃんは、ステーキ屋さんが出しておいてくれるダンボール箱の中で、ご飯を待っている。
4匹は、あっちゃん出現以前の気持ちのすくような食べっぷりを見せ、あっちゃんもまた、厚かましくもなく、妙に遠慮することもなく、穏やかに食事を進めた。

タマサの三角に吊り上がった眼も元の丸みを取り戻したので、駐輪場で一遊びと思い、真っ赤なボールを取り出した。ここしばらく、大好きな猫じゃらしを振っても、目の端で眺めるだけで、じゃれついてこなかったタマサが、案の定、ボール目掛けて走り、ドリブルを始める。このボール、中に錘りが入っているらしく、予想もつかない、おかしな転がり方をする。それがタマサの興味をそそるのか、手で転がしては追い掛け、また転がし……と一人遊びは続く。

そこへ、ズレータが飛び入り参加。食後は、まるで他人の素振りをするズレータには、珍しいことだ。前足で、なかなか巧みにボールを操る。

私の隣では、コアネがミニサッカー・ゲームを観戦している。
私も、目を細めてゲームに見入った。

と、またも参加者が現れた。あっちゃんだ。ボールは、錘りが入っている割に、わずかな力でも良く転がる。最初、ズレータの顔色を伺っていたあっちゃんも、次第に興が乗り、ドリブルしたり、パスをしたり……。

ふと、気配を感じて右に目をやると、ホワイトソックスが、給水塔の壁から顔だけを出して、駐輪場で繰り広げられている光景を眺めている。

猫たちが、それぞれの胸中に湧く様々な思いを、上手に手名付け、収まりどころに収め、変化を受入れて自分の暮らしを立て直していく様子に、我が身を恥じらいながら、その場を後にした。