2005年皐月猫模様(H.17.5.31)

【シマチュウ】
Neco家の家族になった日:2004年6月29日
誕生日:2004年5月頃?
<家族になった経緯>
チョコちゃんの初出産で生まれた5匹姉弟の三番目であり、長男ということになっているのだが、これが実は怪しい。ビルの谷間に赤ちゃん猫を発見したとき、確か5匹いたように思えたのだが、捕獲作戦を立て、日々観察するようになってからは、4匹しか見えなくなっていたのだ。最初に見た5匹が錯覚なのか、この1匹だけどこかに隠れていたのか、親猫の兄弟が別の所に連れて行っていたのか、今となっては真実を知る術もない。くっきりとしたヒョウのような模様は、他の4匹とは似ても似つかない。かと云って、シャープな三角顔は、一族特有のものだ。どちらにも解釈できる。ただ疑念を抱く最大の理由は、シマチュウ保護の経緯なのだ。チョコの子供たちは、いずれもビルの隙間から這い出したところを抱き上げたのだが、シマチュウは隣のビルの向こう側の溝にはまっていた。
夕方6時、いつもは階下に降りることのない時間帯なのだが、その日に限って、なぜかチョコちゃんにご飯をあげようと思い立ち、ビルの裏手に回った。お皿にご飯を足して、事務所に戻ろうとした、ちょうどその時、子猫の大きな大きな鳴き声が聞こえてきた。振り向くと、お好み焼き屋さんの店員さんが赤ちゃん猫を手にのせて、隣の駐車場を横切ってこちらにやって来るところだった。走り寄って、どうしたのかと尋ねると、ビルの脇の溝にはまっていたとのこと。親猫がこっちの方にいるようだから、親元に返そうと連れて来た、と言う。私は保護する旨伝えて、金網越しに、小さな体に不釣り合いな大声でなき続ける赤ちゃん猫を受け取った。この子がはまっていたという溝は、他の4匹のいる隙間とは地続きではあるが、途中、地面が地下まで下がったところがあり、赤ちゃん猫には到底渡ることはできないのだ。一体どうして、そんな所に居たのだろう???人並み外れて面倒見のいい親猫たちが、放っておくとも考えにくい。もしかしたら、赤の他人なのかもれないのだ。
だれの子だとしても、私の手の平の中で、頼もしくなるほど大泣きするこの子猫を保護することにかわりはない。事務所に戻り、コピー用紙の箱にタオルを敷いて、子猫を置いた。これまで保護した子猫たちは、元気がないか、元気でも怯えていて、じっと箱の底にうずくまっていたものだが、この子に限っては、箱をよじ上ろうと、大暴れをしている。これでは蓋をするしかない。空気穴をあけた蓋を被せたが、それでも不安で紐をかけた。何と向こう見ずな子なのだろう。さっそく名前が付いた。『向こう見ず』をもじって、「ムーミン」。「向こう見ずのムーミン」だ。ムーミンは箱の中で大泣き、大暴れを続けながら、車に乗って我が家にやって来た。

<2005年弥生近況>
ムーミンは、いったいどれ位の間、その名で呼ばれていたのだろう。13匹もいて、こちらも健忘症気味だから、「えっと、この子なんて名前だっけ?」ということは確かに多いのだが、それでも、名前がすんなり出てこない最大の理由は、本人としっくり来ていないのだ。赤ちゃんの頃は、この可愛い名前でも良かったのだろうが、成長するにつれて、シャープで精悍になり、野生の ヒョウを思わせる風貌は、どう見ても「ムーミン」ではなかった。自然発生的に「シマ」などと呼ばれるようになり、ついに「シマチュウ」と改名。以来、あだ名が付くこともなく、「シマチュウ」で落ち着いている。
「猫大好き、人間信用できない」という新入り4匹の中で、シマチュウは、人間が近寄っても逃げることもなく、体も撫でさせてくれるし、だっこもさせてくれるが、「猫大好き、人間信用できない」にかわりない。1歳になった今も、らーちゃんの胸に飛び込んで、オッパイを吸う仕草は相変わらず。そのときのゴロゴロの音は、体が大きくなるにつれボリューム・アップしている。だが、その満ち足りた瞬間にも、人間が触ればゴロゴロをピタリと止める始末。嗚呼!それでも、人間に爪を立てることも、威嚇することもないから、よしとしなくてはならない。
シマの成長振りは著しく、チビタやらーちゃんより2回りも大きくなった。最近は、肥満傾向にあり、小さく三角な顔とアンバランスで、どうにもいただけない。
顔の表情が変わらないのも、シマの特徴だ。らーちゃんに甘えているときは、目をつぶっているが、それ以外は、お面をかぶったように、同じ表情が貼り付いている。嬉々として追いかけっこをしているときも、びっくり仰天したときも、眠くなったときも、いやいやながら人間に抱かれているときも、まったく同じ、おどろいたような顔をしているのだ。ここまで同じ顔だと、胸の内を探ることもできない。
最近は、先住猫にくっついて歩くことが多い。だれかが二階へ上がろうと階段を上り始めると、急いで後を追う。だれかがベッドの上に上がれば、自分も上る。それだけなら良いのだが、必ずその猫を追い越して、その鼻先に身を寄せる。行く手を塞がれた先住猫は、気分をこわして、回れ右するのだが、それをまた同じように追いかけ、追い抜き、鼻先に身を寄せる。こんなことの繰り返しで、近頃、シマの評判は良くない。
体は大きくなっても、まだまだ子供のシマ。
いつまで、らーちゃんの胸でオッパイを吸い続けるのだろうか。