NECO家の猫分布 その2 (H14.9.22)

この一週間ほどで、Neco家の猫分布がずいぶん変わった。1階組が2階へ押し掛けることが多くなってきたのだ。新たな猫分布と13匹の近況を書き留めておこう。

トンちゃん
これまでも、1階と2階の両方を居住空間にしている『宮沢さん』のために、2階のドアを開けてあげるのは『トンちゃん』だった。ドアを開けては、『隣の宮沢さん』の姿を見るなり、後ずさりして、階段の最上段で身をすくめながら中の様子を窺っていたのだが、どうやら、『隣の宮沢さん』の敵意のなさ、警戒心のなさ、分け隔てのなさが分かり始めたのか、少しずつ少しずつ2階の部屋に入ってくるようになった。当初、『隣の宮沢さん』が持ち前のす〜りすりをしようものなら、威嚇の「ハーッ」を連発していたが、相手はそれに怯む様子などみじんも見せない。「ハーッ」も何のその、す〜りすりを繰り返す『隣の宮沢さん』に、拍子抜けになった『トンちゃん』は、気にしながらも、次第に肩の力が抜けていった。夏も去り、南の窓から射し込む陽は心地よいとみえ、2階で過ごす時間も徐々に長くなった。

ニセド
『トンちゃん』を先兵として送り込んだ長男(と思しき)『ニセド』は、そんな『トンちゃん』の変化を訝りながら、2階を覗くようになった。かつて、1階に顔見せにやってきた『隣の宮沢さん』の姿を見るなり、大パニックを起こした『ニセド』だが、『トンちゃん』の寛いている様子に勇気づけられたのか、2階の禁断の間に恐る恐る入るようになり、これまた、懐かしく心地よい陽だまりに、緊張もほぐれてきつつある。

宮沢さん
本家『宮沢さん』は、今では自他ともに認める準2階の住人。時折『トンちゃん』が『隣の宮沢さん』に繰り出す猫パンチの盾にもなっている。かと言って1階の居住権を手放すこともない。『トンちゃん』と『ニセド』の兄弟喧嘩の仲裁も買って出る。「社交性ナンバーワン」という称号を一旦は返上し、単なる「お調子者」に格下げされた『宮沢さん』だが、再度『社交家』としての名誉を回復したようだ。

ぬーちゃん
『ままちゃん』子の『ぬーちゃん』は、何とか『ままちゃん』と一緒に寝られないかと、これまでも虎視眈々チャンスを狙っていた。ドアが開いた隙に、大きな体を滑り込ませるのだが、その都度、追い出された。昼間は猫3匹だけで過ごすことの多い2階組が、『ぱぱちゃん』と『ままちゃん』の足元や枕元で眠っていたからだ。追い出されると、すごすご1階に引き上げる『ぬーちゃん』だったが、この頃は様子が違う。夜中、トイレに起きる音を聞き付けて1階から飛んで来るのか、あるいは階段の辺りで待機しているのか、ドアが開くと暗闇に乗じて音もなく部屋に侵入。いつの間にか『ままちゃん』の枕元で寝息を立てている主は、『らーちゃん』から『ぬーちゃん』に入れ替わっている。2階組3匹の間でも、枕元の位置は位が高いらしく、特に『らーちゃん』は執着しているだけに、これは捨ておけない状況だ。毎晩、『ぬーちゃん』を追い出しては、侵入され、また追い出し…この繰り返しだ。

隣の宮沢さん
最近、俄然好奇心旺盛になったのが『隣の宮沢さん』。過日、ベランダでエリちゃんの脱走対策を講じていたとき、ふと見ると『隣の宮沢さん』がペンチを抱えて遊んでいた。決して大きくない真っ黒な体に、銀色に光る重量感あるペンチはいかにも大きく、そのアンバランスと配色の妙に、思わず吹き出した。『隣の宮沢さん』の次ぎなるおもちゃは洗濯ばさみ。これもだたの洗濯ばさみではない。幅が15センチはある、大型の洗濯ばさみだ。やはり体からはみ出ている。真面目な顔をして、身に余る洗濯ばさみと格闘する様は、やはり笑いを誘う。一人遊びするようになった『隣の宮沢さん』の成長(変化?)が嬉しく、ボールを転がしてあげた。正面に来たボールを上手にドリブルしたかと思いきや、わずか3センチ外れると、キョトンとこちらの顔を眺めるばかり。そうか、見えないんだっけ。ロッキーもそうだった。片目の視界の狭さを改めて知らされた。見える方の目がどれ程の視力があるのかも定かではない。『隣の宮沢さん』が大きいものをおもちゃにする理由がようやく分かった。
さて、その『隣の宮沢さん』の興味は、部屋の中から外へと広がっている。ドアが開くたびに、必ず一緒に外に出る。今のところは階段を降りるまでいかず、階段の降り口でUターンして、ちゃんと部屋に戻るのだが、『トンちゃん』がドアを開けっ放しにしたときは、『らーちゃん』と一緒に部屋を出て、隣の『ゆうちゃん』の部屋で眠っていたりもする。

らーちゃん
1階組が揃って2階にやって来るのを、『らーちゃん』はどう思っているのだろう。以前、『宮沢さん』と『ぬーちゃん』が入ってきた時、『らーちゃん』はマーキングすることで抗議の意思表示をした。今回はまだマーキングの様子はない。脱走エリのお陰でベランダにも自由に出入りできなくなり、部屋の中の猫密度は急激に上昇…そう快くは思っていないだろうに。マーキングの代わりに『らーちゃん』がやり始めたことがある。それは、1階へ出かけること。1階組が2階に来るなら、2階組は1階へ、ということだろう。『トンちゃん』のせいなのか、お陰なのか、ドアは開いていることが多くなったし、1階へ行って別の空間を開拓しようということかもしれない。それでも、やはり1階行きは緊張するらしく、階段の途中で階下の様子を窺い、猫気がなければ歩を進め、不吉な予感がすれば引き返す、といった具合だ。『らーちゃん』が1階で寛ぐ光景など予想もできないが、いずれそんな日が来るのだろうか。

エリちゃん
だれが2階に来ようが、『エリちゃん』の目下の興味は脱走だけ。チャンスはお掃除の時間と物干の時間のみ。いずれも『おばあちゃん』が作ってくれるチャンスだ。しかも幸いなことに『エリちゃん』にとって『おばあちゃん』は一番御し易い相手なのだ。ベランダに出るガラス戸が開き、網戸が開く。ここで反応しちゃダメ。「エリは、ベッドで寝てるのよ〜ん」とばかりに、しばし無関心を装い『おばあちゃん』を安心させる。その実、脱走の瞬間を逃さないよう全神経をピンと張り詰めているのだが、『おばあちゃん』はこのフェイントに例外なく引っ掛ってくれる。という訳で、一昨日も脱走に成功!

ゴンちゃん
2階にもお外にも興味・関心を持たず、『おばあちゃん』と一緒にいられる1階での生活に満足しているのが『ゴンちゃん』。少なくともそう見える。何かの拍子で、『ニセド』、『トンちゃん』と一緒に外に飛び出した時も、慌てて家に戻り、2匹の脱走を『おばあちゃん』に知らせる。2階のドアが開いていようがいまいが、階段1段上ることもない。穏やかで、マイペースで、悪ふざけもせず、いたずらもせず、ひたすら『おばあちゃん』に甘えている。

ファイト
激痩の体で、この夏の猛暑も乗り切ってしまった。時折家の中に入って来るものの、一日のほとんどを、初秋の涼風を浴びながら、玄関周りで過ごしている。一時、自分の特別室を『ロッキーママ』に占領されて、やむなく『ロッキーママ』の特別室で寝起きしていたが、ここに来てようやく自分の部屋を取り戻した。誰かが脱走する度に、脱走犯捜しを手伝ってくれている。

ロッキーママ
家の中に入っては、すぐに出て、また入り、また出て、を繰り返しながらも、基本は外で過ごしている。しばらく不法占拠を続けた『ファイト』の特別室も明け渡し、隣の自分の特別室に戻った。一昨日の『エリちゃん』脱走の時は、『ロッキーママ』が居場所を教えてくれた。

お友だち
最近、居間側の庭先やら家の裏側にやって来ては、『クロちゃん』と一悶着起こすことが多くなった。通い猫同士の喧嘩は止めるのは難しい。どちらも捕まえることができないし、かと言って放っておくこともできない。時間を構わぬ大声に、冷や汗をかきながらベッドを飛び出し庭に走り出る。上手く棲み分けていると思っていたのだが、時としてテリトリーが交錯してしまうのはどうしてなのだろう。

クロちゃん
このところ、『キャラリン』が気に入らないらしい。喧嘩をしかけては、『キャラリン』を追い払う。元はと言えば、自分が連れて来たというのに。腹の虫の居所が悪いのだろうか。食べるものも、あれ嫌、これ嫌。『おばあちゃん』が癇癪を起こしている。

キャラリン
『クロちゃん』に虐められて、昨日は一日姿を見せなかった。ようやく軒先きに置いたバスケットの中で眠るまでになったと言うのに。『クロちゃん』にしてみれば、それが気に入らないのだろうか。一昨日など、どこまでも追いかけて行ったらしく、大分遠くの方で『キャラリン』の叫ぶ声が聞こえていたと言う。今までは驚いて逃げ出してもお隣の勝手口の所にいたのに、見渡す限り影も形もない。お腹が空いたら、またやって来るだろうか。食べ方の様子を見ながら薬を増減して、体調も安定してきたところなのに。通い猫との付き合いの主導権は、やはり猫が握っている。

真っ黒ちゃん
だいぶ前に2、3回やって来たことのある『真っ黒ちゃん』が再び現れた。目のクリクリした小柄な猫だ。毛艶も良く、どこかの飼い猫か、ノラでもちゃんと餌場のある子なのだろう。2日続けてやって来て、また来なくなった。気が向いたらまたお出でね。

という訳で、家の中も庭先も、境界が曖昧になってきている。小さな衝突を起こしながら、交わっていくのか、元の境界線の中に戻っていくのか。興味は尽きない。