鬼ごっこ (H14.7.6)

いつも静かだった2階から階下に足音が響く。足音は素早く移動する。あっちへ行ったかと思えば、こっちに戻る。鬼ごっこの始まりだ。
『チビタ』のディフェンスの前に『らーちゃん』のサッカーはお手上げで、困ったもんだと思っていたが、次なるゲームを『らーちゃん』が考案した。それは鬼ごっこ。鬼はいつでも『チビタ』だ。『らーちゃん』が走ってベッドの下に隠れる。その後を『チビタ』が追い、ベッドの下に潜り込む。すると今度は猛烈な勢いで『らーちゃん』がベッドの下から飛び出してくる。『チビタ』がまた、それを追う。次の瞬間、『らーちゃん』が『チビタ』の視界から忽然と消える。『らーちゃん』はテーブルの上にジャンプし、『チビタ』の様子を伺っているのだ。『チビタ』は、「あれえ、『らー兄ちゃん』どこだあ?どこに隠れてるんだあ?」と一種独特の『のんびりびっくり』で辺りを見回す。そんな姿をしばし眺めた『らーちゃん』は、絶妙のタイミングでテーブルから飛び下り、再び駆け出す。「あれえ、『らー兄ちゃん』がいたあ」と『チビタ』も再び追い掛ける。こんな様子を高見の見物していた『エリちゃん』までも、意味もなく走り始める。もとより一人遊びが上手な『エリちゃん』だ。こうして一日に何度となく運動会もどきの鬼ごっこが繰り返される。
はつらつと駆け回る『らーちゃん』は、ますます精悍になり、お邪魔虫の『本家宮沢さん』がいつもの調子の良さで2階にすべり込み我が物顔で振る舞うと、猫パンチを繰り出すまでになった。意表をつかれた『本家』は、自ら退室を申し出る有り様。それでも2階の部屋があきらめ切れない『本家』は、一晩中、2階のドアの前で寝ている。猫の勢力地図はどんどんと描き替えられて行く。