2007年　初版発行
作：Kandy Radzinski
発行所：Sleeping Bear Press
ISBN-10:1-58536-340-5

クリスマスの時季、チロチロ燃える暖炉の火の前で、アームチェアに体を沈めて絵本を眺める……我が家には、暖炉もなければ、ゆったりと過す時間もなかなか持てないが、想像の世界でページを繰る絵本はここにある。

本書は、写実的な細密画、それでいて、空想の世界に遊ばせてくれる Radzinski のクリスマス絵本だ。
サンタさん宛の手紙を書いた14匹の猫たちが、それぞれ見開き2ページに大きく描かれている。手紙の内容は、もちろんプレゼントのお願い。猫たちは一体どんなものが欲しいのだろう？ふ〜ん、なるほど。でも、サンタさんは困るだろうなあ。どの一つをとっても、たやすく叶えられるようなものではないのだから。猫たちのお願いに比べれば、人間の子供たちの願い事はお易い御用だろう。人間の子供のお願いは、とっても現実的なのだから。それは想像力に乏しいということかもしれない。サンタさんの都合などおかまい無しに、想像を膨らませたお願いを書き記す……いかにも猫らしい。ここに登場する14匹のように、現実から離れて、自分の望みは何か、ゆっくり心の中を覗いてみるのもいいかもしれない。
しっとりとした美しい色彩で描かれた一枚一枚の絵を楽しみながら、空想の世界に遊んでみよう。