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空を駆けるジェーン

2001年9月20日 第1刷発行
著者:アーシュラ・K・ル=グウィン
画家:S.D.シンドラー
訳者:村上 春樹
発行所:株式会社講談社
定価:1500円(税別)
ISBN4-06-210895-X
C0097

『素晴らしいアレキサンダーと空飛び猫たち』に続く、『空飛び猫』シリーズの第4弾。

空飛び猫兄妹は、「丘の上農場」でのんびりと暮らしていましたが、一番小さな妹、ジェーンは、安全ではあるけれど、あまり変化のない毎日に気が遠くなりそうなほど退屈してしまいます。危ないかもしれないけれど、新しい所へ行って、新しい友だちを作りたい…ジェーンはある日、一人で冒険の旅に出ます。
都会に辿りついて、窓の開いている家に飛び込んだジェーン。その家に住む人は、ジェーンにやさしくしてくれましたが、結局、ジェーンを空を飛ぶ猫「ミス・ミステリー」として新聞やテレビに売り込み、お金もうけするようになります。家に閉じ込められたままのジェーンは、テレビに映った自分の姿を見て、「丘の上農場」の兄姉にも危険が及ぶかもしれないと考え、何とか、家を退け出すのですが…。

原題"Jane on Her Own" (「自分の責任で自由に行動する」、「自立する」という意味)の通り、本書は、一番小さなジェーンが危険を承知で、自立の旅に出るという内容です。幼い頃の恐ろしい体験で一時は言葉さえ話せなかったジェーンの成長が、見事に描き出されています。

やりたいことはあれど、今の安定した生活から抜け出す勇気がない、多くの人間たちへの応援歌のようにも思えるのですが。

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