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サンタクロースの
しろい猫

2003年10月31日 初版発行
文:スー・ステイントン
絵:アン・モーティマー
訳:前沢明枝
発行所:株式会社徳間書店
定価:1,500円(税別)
ISBN4-19-861757-0

サンタクロースの家には、世界で一番白い猫、スノウがいました。スノウは、サンタさんのひげに隠れたり、ポケットにもぐり込んだり。
サンタさんが年に一度、世界中の子供たちへのプレゼントをそりに積んで、旅に出る日がやってきました。サンタさんは、スノウがポケットの中に隠れていることも知らずに、そりを走らせました。ゴロゴロ言いながらポケットから顔を出したスノウを見つけたサンタさんは、びっくり。でも、思い掛けない旅の供に、サンタさんも御機嫌です。スノウは、氷の海や色とりどりの明かりがまたたく町の光景に見入ってしまいます。もっと良く見よう……身を乗り出したスノウですが、危ない!そりから落ちてしまいました。サンタさんは、必ず助けに行くから、とそりの上から声をかけたのですが…

真っ白い猫は、一色の白ではない。何色もの白が集まって、真っ白い猫になる。アン・モーティマーの描くスノウは、そんなことも教えてくれる。アン・モーティマーは、動植物の細密画で有名だが、細密画は写真のように描くことではない、ということも改めて知った。細密画は絵だ。描きたいものだけを切り取り、自由に光りを当て、あるいは光りを放たせることができる。ここに描かれたニューヨークのクリスマスは限り無く美しく、時を経ても目を閉じれば鮮やかに蘇ることだろう。

アン・モーティマーはもとより、作者のスー・ステイントンも、訳者の前沢明枝さんも猫と一緒にくらす愛猫家だということも嬉しい。

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