2011年　初版発行
文・絵：Anne Motimer
発行所：Harper Collins Publisher
定価：$14.99
ISBN978-0-06-187485-7

ハロウィーンの頃に出回るあの大きなカボチャ、どうやって育てるのかなあ……と思ったのは、黒猫さん。「ボク、知ってるよ。作り方、教えてあげるよ」と答えたのは、ネズミ君。二匹でジャンボ・カボチャ作りに挑戦です。種蒔きから始めた二匹。さあ、10月に無事収穫できるでしょうか。

動物や植物の細密画家として著名な Anne Motimer の作品。
カボチャ作りという単純なストーリーでありながら、期待に胸膨らませ、せっせとカボチャの世話をする二匹の様子を見ていると、こちらまでカボチャ作りをしてみたくなります。
黒猫さんも、ネズミ君も擬人化された表情をしている訳ではありませんが、真剣さや好奇心や期待が読み取れる表現力は、さすが Motimer。
猫の細密画と言えば Lesley Anne Ivory が真っ先に頭に浮かびますが、Ivory の作品には気品が漂うのに対し、Motimer の描く猫には親近感やあたたかさが溢れています。Motier は、猫の顔をやや幅広に描くことも一因かもしれません。
カボチャのオレンジ、猫の黒、葉の緑に空の青……色彩も鮮やかで、各ページのイラストの構図は変化に富み、目を楽しませてくれます。

本書は、文も Motimer に依るものですが、同じフレーズがリズミカルに繰り返され、詩を読んでいるような心地よさを覚えます。

毎年ハロウィーンの時期に眺めたい１冊です。