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帰ってきた空飛び猫

1993年11月26日 第1刷発行
著者:アーシュラ・K・ル=グウィン
画家:S.D.シンドラー
訳者:村上 春樹
発行所:株式会社講談社
定価:1500円(税別)
ISBN4-06-205881-2
C0097

『空飛び猫』の続編が本書。

にんげんの兄妹が用意してくれたT丘の上農場Uの納屋で眠るようになった4匹の空飛び猫ですが、いつしか別れたお母さんを懐かしむようになっていきました。お母さんに会いに帰ろう、という2匹。お母さんは街が危険だからと旅立たせたのだから帰ってはいけない、という2匹。結局、2匹は農場に残り、2匹が会いに行くことになりました。

やっとの思いで辿り着いた古巣のハーレムは、どんどんと取り壊されている最中でした。お母さんの姿はもちろん、自分達が生まれ育ったゴミ置き場も跡形もありません。呆然のしている2匹は、取り残された小さな真っ黒の猫を見つけます。なんと、その子猫にも羽があるではありませんか!!子猫を助けた2匹は、お母さんを探すのですが…。

私たち人間の生活環境を整えるT開発Uが進む中、そこを追われるたくさんの命もあります。それは、動物だけの問題ではないように思います。その土地にアイデンティティを強くもった人間の心もまた、追われていくのではないでしょうか。この空飛び猫たちのように、せめて心にだけは羽を付けていたいものです。

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